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【跡部】All′s fair in Love&War

第5章 ゆく川の流れはたえずして




――ほんま、いけすかんのは跡部、お前の方やわ。


あれから何週間か経ち、新学期が始まっていた。新入生も入部してきて、既にやめたものもいたりして。マネージャーも入ってきたし、本格的に部活動もスタートしている。その間に、彼の人となりも分かってきた。

イギリス帰り。
一年の主席入学生。
鼻につく程のナルシストだけど、裏打ちされた実力があり、正式入部と共に正レギュラーになってしまった。


そして、ジローの友人であったこともあり、すっかり周りと打ち解けていた――対して、自分は。


彼を除く、一年の中では多分一番強いと思う。実際今の所ここでは負けていない、が、初めに嫌な態度を取ってしまったからか周りから距離を置かれ。


――寂しいなー。大阪帰ろかなー。


恥ずかしいからそんな事出来そうもないけれど。彼の立つ正レギュラーのコートが眩しく見える。はぁ、と思わずため息をこぼしたその時――


「忍足、くん?でいいのかな」
「アンタは…松元さん、やっけ」
「そーだよ!」


名前、覚えててくれだんだね――そう笑う彼女は、気取った人間が多いこの学校の中では取っ付きやすく、話しやすい性格のようだった。


「へぇ、じゃあ外部から入学して来たんや。俺と一緒やね」
「そーなの、なかなか馴染めなくてさぁ…でも、忍足くんはそれに加えて一人暮らしもしてるんでしょ?凄いよねー!」


そこで、ふと向けられる視線に気付く――跡部?こちらを見ているらしい、鋭い眼光、一体何処を?そして、ふと思い当たる。隣にいる、松元を見ているのだと。


「勉強の進度も速いしさー、ついていけるか既に不安なんだよね」
「そうやなぁ、普通の中学よりは速いやろなぁ」


彼…跡部はその見た目もあって、物凄くモテた。コートには年齢問わず女子生徒が群がっている。他校の者もいるようだった。その中には美人も沢山いたし、彼なら選り取りみどりだろう。――なのに、松元?

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