• テキストサイズ

DIVE TO BLUE 【気象系BL】

第4章 ✽+†+✽――✽+†+✽――


【世界のすべて 1】






物心ついた時にはそうだったから、


それが人とは違うということに気付いたのは、高学年になった頃だった


母さんと、何人目かの父親と狭いアパートで生活していて


籍を入れてたかどうか、今となってはわからないけど……



ロクに働きもしない、
母さんよりずっと若い男

見た目だけは、いつも同じ雰囲気だったから、こういうのが、母さんのタイプだったんだと思う




「サトシ」




宿題をやっていた背中越しに、名前を呼ばれ振り返ると




煙草片手に、ニヤニヤと軽薄な笑みを向けられた





「……なに?」

「オマエさ、

セックスしたことあるか?」




唐突な問いに、

ぶんぶん首を振ると、
下品な笑いが、部屋中に響く






「そうか。

なぁ、教えてやろうか?」





ジュッと、灰皿に煙草を押し潰し


名ばかりの父親が、片膝を立て俺に近付く


古い畳を軋ませ、

あっという間に視界が反転した




知識にあった"セックス"は男と女が重なるもので、

それさえ、詳しくは知らない



いきなり腕を掴まれ引き寄せられても、全く意味がわからなかった


拒否する間もなく、

Tシャツ越しに身体をまさぐられ、耳元に息が掛かる




「……お前、女みたいだけど、やっぱ男なんだな」





首筋にざらついた舌が這うと、全身に鳥肌が立った



嫌だと思っても、恐怖と体格差で抵抗出来ない




「そうそう。

大人しくしとけば、痛くないからな」







蘇った記憶


昔にも、似たような事があった




新しい父親だと、
最初にやってきた男は


やたらと一緒に風呂に入りたがったし、

触っていいか、と聞かれたこともある


何もわからないまま、好きに触られ




決まって皆、


"誰にも内緒だよ?


お母さんにもね?"




そう言って、
頷く俺に、小遣いやらお菓子を与えた





特別悪いことだなんて、
微塵も思ってなかった



俺が言われた通りにすれば、

男は母ちゃんに優しかったし

母ちゃんも笑ってたから、



そうすることが正しいんだって、



ずっと……信じてた




.
/ 168ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp