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DIVE TO BLUE 【気象系BL】

第1章 ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚


【introduction】


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見上げたマリア像


所々ひび割れたそれは


子ども心に、なんだか切なくて、寂しい気持ちにさせた





それでも、


慈愛に満ちた眼差しは、

亡くした母親の片鱗を見たのか

俺は、毎日それを見上げてた




その日もいつもと同じように、


施設の片隅へと足を運ぶ








初めてだった


誰もいないはずのその場所に、見つけた人影


自然と息を潜め近寄ると






綺麗な涙を流す男の人






しばらく動けなかったのは……


その人が、


マリア様のように
寂しい顔をしていたからだ





絶えず流れる涙の粒に、


どうにかしなきゃって……


ぎゅっと…


手のひらに力を込めたのを覚えてる








「泣いてるの?」





俺の声に、


視線を落としたその人は








真っ直ぐに見つめてきたからドキドキした


どうしてだろう


初めて会ったばかりなのにね


いまいち理解出来なかったクセに








「僕と、……一緒に来る?



……おいで」







優しい声に
吸い込まれるみたいに


差し出された手のひらを握りしめてた





あったかくて、大きな手


その時の温もりを


俺はきっと、


一生忘れない






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