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Story〜君の隣で同じ景色を見る〜

第32章 ep32 意味








"信じてる"



りこが岩泉に託した言葉。




何をだろう。東京でプロとして活躍する事?

いや、そんな事わざわざこのタイミングで言ってくるわけない。



自分がりこのことを諦めないことを?



(わっけわかんない・・・)




一番身近にいた彼女の事が、一番わからない。



わからなければ、この先もずっと、このままだ。




いやだ、


いやだ、





いやだ!







もう一度、あの笑顔が見たいーーー・・・













そうして答えがわからないまま、関係が好転する事もないまま、

日曜日、りこは再び大阪へ行った。



「りこさん!頑張って下さいね!」

「りこ〜、緊張したら手に豚って書いて飲めよ」

「それ人な、松川」

「ふふ・・・みんなありがとう、お土産買ってくるからね!行ってきます!」





ーーー・・・





夏休みが始まっても、練習は大体月曜日がオフだった。



夏休みという事で学校もないわけで、その日は一日オフというのが、嬉しい。




(喧嘩するまでは月曜日はどっちかの家にいて、ずっと一緒に過ごしていたのに・・・)




時が流れてすでに遠い思い出の様になりかけている。



嫌だと拒否するのに、答えは見つからないまま・・・。










「とーおーるーーー!何こぇー顔したんだよ、ほらっ、行くぞ!」



自室の布団で、イライラしながら天井を仰いでいると、視界に小さな影が顔出す。



甥っ子の猛だ。





「・・・何?遊んで欲しいの?死んだふりごっこでいい?」


「そんなつまんねぇ遊びやってられっかよ!ほら、行くぞ!!」



そう言って及川の服の裾をぐいぐい引っ張る。



「行くって、どこに?」


「忘れちまったのかよ!今日バレー教室連れてってくれるって言ったじゃん!」



あぁ、そんな事も約束してたか。



全く、バレーの時はそれだけに集中してられるけど、他のことは本当、無気力っていうやつなのか、それに近いものになっている。





(このままじゃ・・・だめだ)




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