第4章 迷夢…
その頃からだろうか…
僕は毎晩のように夢を見るようになっていた。
それはとても淫靡な夢で…
夢の中で僕は、智子の着物を乱暴に剥ぎ取り、白い肌に指を滑らせていた。
小振りではあるが、柔らかな乳房に歯を立て、まだ熟していない果実のような蕾に欲の塊を突き入れていた。
智子が泣いて許しを乞うのも構わずに…
それはとても鮮明で…
朝、目が覚めた時、下着を汚れていることも、たまではなかった。
智子を思うあまりに見せた悪い夢…
きっとそうだ…
何度そう思おうとしても、指先に残る滑らかな肌の感触が、なかなかそうはさせてくれなかった。
これは僕の願望?
まさか…
そんな筈はない…
だって智子は僕の大切な妹なのだから…
いけない…
智子にこんな感情を抱いては…
僕は気怠さの残る身体を奮い立たせ、寝巻きと汚れた下着を脱ぎ捨てると、代わりに学生服を身に着けた。
学校へ行こう…
気の合う学友と他愛もない会話をして、なんでもないことで笑い合って…
そうしていれば、たとえ一時でも智子のことを忘れられる。
僕は普段よりも早く家を出ることにした。
母様は訝しんでいたが、補習だと言ってその場は取り繕った。
事実、大学への進学を控えた僕達受験生には、多くの課題が与えられ、受験生を対象にした特別授業も開かれていて…
僕にとっては好都合…とも言えた。
智子の甘い香りと笑顔に満ち溢れた家は、僕には茨の檻そのものだったから…