第5章 第三次忍界大戦
その男はそのまま俺の方へ歩いて来たかと思うと俺の目の前でピタリと止まり、姉さんを差し出した。
「?」
「連れていくのでしょう。早く手当てをしてあげてください。生きていますよ。」
俺は慌ててその男から姉さんを受け取り顔を確認した。
どうやら、気を失っているようで、傷だらけで、辛そうな顔をしている。
姉さんを、血がないところに、木に寄りかからせるように座らせて、そっと頬を触った。
「暖かい...」
その暖かさを感じると、自然と涙が溢れてきた。
気を失っている姉さんをギュッと抱き締めた。
恐かった、姉さんを失うことが、
姉さんの近くにいれないことが、
姉さんの...俺だけに微笑みかけてくれる笑顔が見れなくなるのが
「...姉さん」
そんな様子を見た、若い男が、イタチに気づかれないようにふっと笑い、
「それでは、私はこれで」
そう言って背を向けた。
「待て。」
イタチはゴシゴシと涙をぬぐいとり、男の方を見た。
「姉さんを、助けてくれて、ありがとう。けど、俺はあんたを信用したわけではない。」
「...それでいい、まだ、私もあなたからの信用を得ようとは思っていない。」
「まだ?」
「...時が来ればわかる。とだけ言っておきます。」
俺はその意味がわからず、?マークを浮かべる。
男は俺のその反応を楽しむようにふっ、と笑い、背を向け歩き出した。
が、何か思い出したように、あっ、と声をあげると、また俺の方を見た。
「一つだけ訂正させてください。あなたの見方ですとは言いましたが、厳密に言えば、私はあなたのお姉さんの見方です。」
「姉さんの?」
「はい。あなたはそのお方の大事なお方です。ですから、私はあなたの見方です。と言いました。」
「お前と姉さんはどういう関係だ?」
「...そうですね。今はまだ、そのお方と私は赤の他人です。ですが、いつかそのお方の右腕となるものですよ。」
「!!」
「それでは、」
「待て!」
「...今度は何です?」
その男は呆れたようにため息をついた。
「この忍たちはお前が?」
「.....いえ、これは全てそのお方がやられたことですよ」
「!?!?」
「それでは、今度こそ失礼します。」