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【戦ブラ】Queen of the Night

第1章 【織田軍】プロローグ/盃に月を映せば【丹羽長秀】



青い空の元、ギラギラと輝く太陽の光が無遠慮に大地に降り注ぐ。目が眩みそうなほどの光量はまるで身体にエネルギーを送り込まれるかのよう。


本日は快晴に恵まれていた。

『なんて素敵な洗濯日和!』

東から昇った太陽が天の頂点を過ぎた頃、
朝のうちに済ませた洗濯物がすでに陽だまりの熱を浴びて、その水分を飛ばしていた。


元来、私は朝に弱かった。

いや、たぶん今でも弱いはずだ。

元の世界では、流石に始業時間に遅刻をしたことはないものの、低血圧で寝起きがとても良くなかった。起床から出社までの怒涛の準備工程は、身支度優先で、朝食なんてバターロール一つ食べられればいいほう。
システムエンジニアの仕事は、バグやエラー対応と納期との勝負。時に日を越えてコマンドを打つことも少なくなかった。

それが、日が昇って明るくなれば目が覚め、こうして洗濯を済ませて干し、一汁三菜の朝食もしっかりいただいている。夜は月明かりのなかお散歩したり、星空を楽しんだりしてから、床につく。

(この世界に来てからのほうが、人間として真っ当に生きている気がする。。。)

そんな事が頭をよぎる。

現代の文明の力に頼ることのできない上に、戦や厄魔などでいつ命を落とすかわからない世界だというのに。

この神牙という異世界へ姫神子様という謎多き御方に召喚されてしまってから、どれくらいが経ったのか正しい日数の認識が朧気になってきている。

神牙では、月牙族という力ある武将たちが各地を治め、天下統一を目指して画策し、戦を交えることが日常だ。

この世界に降り立った時に、出会った"武将"という人に運がよくも悪くも拾ってもらえたことで、一言では語り尽くせないほどに紆余曲折があったものの、この異世界での生活にも慣れ始めていた。


姫神女様と同じ血の力を持つ、というだけで、城では、この世界の中でも不自由のない生活を過ごさせてもらっている。

戦で剣を振るうことも
戦略をたてることも
他国の情勢を諜報することも
できないというのに。

これだけの恩恵に少しでも報いられるように、皆さんの役にたてることなら、自分のできる範囲で身の回りのことなどを手伝うのが日課となっていた。
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