第3章 盗賊に狙われる戦士
「……そんな事があったのかマルセル。」
そう呟いたのは金髪巨漢の男、ライナー・ブラウン。
「………………。」
無言であるが心配そうにマルセルを見つめる長身の男、ベルトルト・フーバー。
「……そいつ、聞いたことがある。」
マルセルの話を聞いて呟いたのは小柄な金髪少女、アニ・レオンハート。
アニの言葉に3人は見つめる。
「……確か違法物件を狙う盗賊だと思う。」
「狙っては金目のものを盗み、貧民に食料を分け与えているっていう……」
「その中の一人、異質なお面を付けた小柄な男は憲兵団にとっては厄介者らしく、市民によっては英雄でもあるらしい。」
そう言ってアニは話すのを一時止め、3人を見つめる。
それを聞いたライナーは顔をしかめる。
「英雄か……もし調査兵団と手を組まれりゃあ厄介だな。」
そういうライナーであるがマルセルは楽しそうに
「出来ればその盗賊団を利用したい。」
「利用?」
マルセルの言葉に思わずベルトルトはつぶやく。
マルセルはニヤリと怪しく笑みを出し、
「あの動きは並大抵の兵士じゃ叶わねぇ…」
「ましてや調査兵団にも余裕で相手できるかもしれねぇな。」
「だが、マルセル。あの人類最強がいるんだぞ?」
「だからそいつも含めて相手できると言ってんだ。」
「……そんなに強いの?」
「あくまで予想だが、あの動きはまだ本気じゃねぇと思う。」
マルセルはそう言ってあの華麗な動きを思い出したのかゾクリと身体を震わせた。
それを見つめていた3人は想像したのか同じように身体を震わせた。
「……まずは盗賊のアジトを見つけてそのボスに交渉する。」
「だけど、その盗賊団は有名でありながら詳細は不明らしい。」
そうアニは呟く事でマルセルは顔を顰めた。
「……それなら違法物件を運ぶ振りをすればどうかな?」
ベルトルトが提案するかのようにつぶやくとライナーはなるほどと言うような顔を見せる。
「憲兵団の荷物をよく狙い、特に違法物件が多いからな!」
「ベルトルトにしてはいいアイディアだな!」
そう言ってマルセルはベルトルトの頭を撫でる。
ベルトルトは癪に障ったのかむすっとしているもしばらくして諦めたのかヘラっと笑う。
「よし!!やるなら今だな!準備するぞ!」