第1章 お面の盗賊
それを見逃さずに話を続ける。
「そいつは調査兵団に入ったばかりでな……」
話を続けているとお面男は俺を睨みつけるような感じであった。
少し空気が変わったことに気づき息を呑むがしばらくした後また声を出す。
「あぁ!そういやぁ自己紹介がまだだったな!俺はマルセル、マルセル・ガリアードって言うんだ。」
そう名前をいうとお面男は驚いたように見えたのであった。
だが、しばらくして我に返りお面男は俺から逃げるように背中を向け走り去る。
「あ!おい!!」
声をかけるよりもお面男はもう暗闇の中であり、姿を消したのであった。
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『……マルセル・ガリアード……』
一人と短髪の少女が手に持つお面を見つめながらつぶやく。
『……確かユミルに食われたはずじゃ。』
そう小さく呟いた声は夜空へと消えてゆくのであった。
『……うーん。あまりよくわかんないけど物語が変わっていってるのかな?』
お面をポイっと頬り投げたため、カコンっと音が響く。
それを耳に入れたあと夜空を見上げる。
『…原作から少しずつ離れてっているのかな。』
『だとしたらやばいな。』
『生きなきゃいけないものが死に、死ななければならないものが生きてしまうだろう。』
『……ここまでどうなっているんだろう。』
『……もしかしたらマルコが生きているかもしれない。』
ブツブツとつぶやくとしばらくして意を決したかのようにスっと立ち上がる。
『うん!よし!!』
、
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、
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────コロソウ────
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……それは残酷でありながら正義を貫く意志でもあった。
だが、その意思によって人生が変わってしまうことに彼女はまだ気づかなかった。