第3章 この子うちに泊まる気だ
「ん〜、着替えこんなのしかないなぁ」
引き出しから引っ張り出したのは、たまに泊まりにくる弟の寝巻き。
うちの弟は大学生だけど小柄なので、体格のいい彼には少し小さい気もする。
「もっとデカイのねーのか」
「ないなぁ」
チッと舌打ちが聞こえた。
こんなことでいちいち舌打ちするなって。
無いものは無いんだよ、仕方ないだろうよ。
「自分こそジャージとか持ってないの? カバンに入ってたりさ」
「あるけど部活で着たやつだから、ああ、洗濯機も借りるな」
そう言って、結局私の手に持っていた弟パジャマを掴んでスタスタと脱衣所に歩いて行った。
コイツ……我が家の電気代をなんだと思ってるんだ。
「って、あぁ!! ちょっと、ちょっと待って!!」
私が脱衣所に駆け込んで行った時には、時すでに遅し。
脱衣所一面に干された洗濯物。
ヒラヒラとなびく大量の私の下着達。
ひぇ〜〜〜!
「ちょっと待ってって言ったじゃん!!」
吊るされていたハンガーをかき集めながら私が少し涙目で訴えるも、素知らぬ顔でツカツカと脱衣所を進んで風呂場を確認する彼。
「それで、タオルは?」
「信じらんない!!」