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君の計算を狂わせたい【黒バス/花宮】

第10章 冷たい雨




食事をすませると、私は淡々と家事に打ち込んだ。

食器を洗って、洗濯機をまわして、掃除機をかけて。

乾いたお皿を棚にしまっていると、シジミのおみそ汁が入ったお鍋が再び視界に入った。

お鍋の中には、まだ一人前のおみそ汁が残っている。
 

お昼に食べても良かったんだけど……なんとなく食べずに残してある。

夏だし、夜には食べないと悪くなっちゃうよね。

そんなことを思いながら、お椀に移したおみそ汁を冷蔵庫にしまった。
 


とりあえず家事がひと段落して、私はテーブルにうなだれる。
 

「最近は一人暮らしにも慣れてきてたのになぁ」
 
 
たまに我が家を訪れる弟が帰った後、ホームシックになることがあった。

それも年々なくなっていたのに。
 

態度の大きい居候がいなくなると、途端に部屋が静かに感じる。

花宮はそんなに騒がしかったわけじゃないのに、なんでだろう。
 

「頑張って連絡先聞けばよかった……」
 
 
後悔したってもう遅い。
 

「うー……」
 
 
やだなぁ。

この感じ、きっとしばらく引きずる。

私はもやもやした気持ちを振り切るように、ガバリと体を起こした。
 

「あーもう、お風呂入ろ!」
 
 
気分転換にぬるま湯をためて入ろう。

うん、そうしよう。

そうと決まれば準備。

体を動かしていれば、少しは気が紛れる気がする。
 




お風呂からあがると、ラフなTシャツとジーパン生地の短パンに着替えた。

久しぶりの湯船はけっこう気持ちが良くて、少しは気晴らしになった気がする。
 

時計を見ると、短針がもう少しで5の数字を指そうとしていた。

もうこんな時間か、時間が過ぎるのが早い。

そのまま何気なく窓の外を見ると、雨が降りはじめていた。
 

「うわっ、やば!! 洗濯物!!」
 

さっきまであんなに晴れてたのに。

今日雨降るなんて聞いてないよ。

 
慌てて洗濯物を取り込むと、ふと見えた、道路に立つ人影に目が止まる。
 
 
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