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≪刀剣乱舞≫ 春日狂想

第3章 静かの海で 〜後日譚〜


とわは俺の頬を挟んだ華奢な手をそのままに。

「私は皆が寝静まったら、こそっとちょっとだけ薬研の寝顔見て戻ろうと思ってたの」

なんて、どうして此処に居るのかを簡潔に説明してくれた。

「なんだよ、そうだったのか」
「うん、でも少しの間は何時もは見れない薬研の寝顔に見惚れてたんだけど、そのうち我慢出来なくて気付いたらほっぺに口づけしちゃって薬研を起こしちゃったけど…」

ふふ、と小さな苦い笑い。
そうか。それで身体が何時もより冷たかったのか。
そう納得した俺にとわはまた少し不貞腐れたような表情になり、まだ触れ合ったままの俺の頬をむにむにと弄る。

「まあ、起こしちゃったのは私だけど、薬研が寝ぼけて布団に引っ張り込まれて、あーんな事やこーんな事されるとは思ってなかった」

とわはこんな感じにやや茶化して話しているが、実際の所俺の不意打ちに、だいぶ照れているようだ。
それは触れ合う彼女の身体が微かに火照り、月明かりの中でもわかる程肌が薄く桃色に色付いている事が事実を赤裸々に物語っていた。

「だから夢だと思ったんだって。夢なら何しても良いだろうと思ってな。嫌だったか?」

言いながらわざと意地悪に見えるであろう笑みを乗せ、未だ熱を持ったとわの首筋を撫で、形の良い小さな耳に甘さを含ませ囁く。

「んっ…、その質問わかってしてるでしょう…?」
「さあ?わからないから聞いてるんだが?」

勿論そんなの嘘だ。
彼女から否定の言葉が出ないと知っている。
だってそれは腕の中の熱を孕む身体を抱きしめていれば嫌でもわかる。

「嫌…じゃ、ない…」
「ん、本当は知ってた」

素直になった彼女に今度は俺も意地悪はせず素直に答え、頬に添えられていたとわの手を片手で指を絡めそっと外し、今度は彼女の滑らかなその頬に口づけを落とす。

「あー…、私何か色々恥ずかしい…」
「俺は嬉しいけどな」
「何が?私にあーんな事やこーんな事をした事?」
「それも有るっちゃ有るが、とわが俺の所に来てくれた事」
「……甘えた全開でそれも恥ずかしい」

そう言いながらもとわはぐりぐりと俺の胸に額をくっつけ甘えてくる。

あゝ、全くどこまで可愛いんだ。
完全にお手上げだ。


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