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≪刀剣乱舞≫ 春日狂想

第3章 静かの海で 〜後日譚〜


「こりゃあ驚いた!主と薬研はそういう仲だったのか?抜け駆けされたなー!」

なんてひょこっと長谷部の後ろから顔を出しながら鶴丸が言い出せば。
続いて部屋へとなだれ込んできた皆は一斉に喋り始める。

「なんでぼくじゃなくて薬研さんがぼくのあるじさまといっしょにねてるんですかー!」
「がはははは!まあ待て、今剣よ。そう目くじらをたてるな。気持ちはわかるがな」

今剣に岩融。

「いやはや。この俺が先を越されたか」
「いいや、あの主の事だ。それはまだ早計ではないか?三日月」

三日月に鶯丸。

「俺の方がいっつも可愛いくしてるのに、主のお洒落仲間なのにー!」
「それを言うなら清光、主の散歩仲間の僕じゃないかな?」

加州に大和守。

他にも顔を真っ赤にしてあわあわと動揺している大包平や、それとは反対に「これも和睦…でしょうか」などと動じない江雪。
「薬研!ちゃんと説明しなさい!」と眉根を寄せるいち兄に、「俺、このショックで記憶戻っちゃいそうです」と複雑な笑顔の鯰尾。
「薬研兄さん、ずるいです…」と五虎退が小さくこぼせば、それに同調するように「そうですよ!主君と一緒に寝るなんてずるいです!」と息ぴったりの前田に平野。
「自分やと思うてたんやけどなぁ。この間も耳掃除してあげたし」と明石が溜息をつけば、「あ、国行もずるい!でも抱き心地なら俺の方が絶対良いのに!」と蛍丸。

とまあ、他の奴らも口々に勝手な事を言い合い収集がつかない。
けれど全員一致しているのはこの事態が不服で仕方ないという事と、とわの一番になりたかったという事。

とりあえず、こんな状況下でも未だ目覚めないとわを起こそうと試みるも。

「大将!おい、大将!大変な事になってるから起きろ!!」
「う、ん……?薬研…?やだ、名前で呼んで…?それからまだ離れちゃイヤ…」

なんて寝惚けているのか。
周りの状況を一切顧みない言葉を発した上に、するりと俺の腰に手を回し抱きついてきた。
これでは火に油を注いだも同然で、周囲から今までの騒ぎに輪をかけたどよめきが上がった。


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