第11章 不器用【日吉】
また30分くらいで全てのプリントに目を通し終えた
せいなはまだ最後の1枚の最終確認をしている
そう言えば、なんで俺さっき意志とは違うこと言ったんだ?
なんて未だに考えていた。
そうしているとせいなが最終確認終わったよ、なんて俺に声をかけてきた
「ん、見落としてたところあったか?」
『ううん、なかった。日吉くん仕事のスピード早いね私ビックリひちゃった』
なんてニコッと笑いながら俺に話しかけてる
不覚にも可愛い、なんて思った
「こんなもの朝飯前だ、寧ろこんな簡単なことが出来ないお前は馬鹿なんだな」と、見下しながら小馬鹿にして見ると
『あははっ…でも確実に日吉くんよりかは馬鹿だと思うよ』なんてマジにして返してきた
それに続けてせいなは
『今日は手伝ってくれてありがとうね。部活忙しい時に本当にごめんね…でもお陰ですごい楽だったよ』
と、言ってきた
「そうか、なら良かった」
俺はいつも通りにせいなに返した
そろそろ部活に行かなきゃ流石にまずい時間になってきた
俺は時計を見て
「悪いが俺はそろそろ部活に行くぞ」なんて帰り支度をしながらせいなに言った
『そっか。わかった!部活頑張ってね』
なんて笑顔で返してくれた
俺は一言「当たり前だ」と言いながらせいなの方を向かずに教室を出た
その時俺は自分で顔が赤いのがわかった
あの時意志とは違うことを言った、なんて思ってたが
ただ俺が気づいてなかっただけか…
せいなのことが好きって言うことに
いつかちゃんと名前を呼べる存在になりたい、そう俺は思った
【完】