第5章 機嫌なおしてや【忍足(侑】
「なぁなぁ、ええ加減機嫌直したらどうや?」
俺がそう言うても頬をプクゥっと膨らませてるせいな
ほんまええ加減機嫌なおしてくれんと俺も拗ねたくなるで、ほんと…
まぁ、そんな冗談は置いといて
なんでこんなにせいなが機嫌悪いかと言うと
俺がせいなのお気に入りのお菓子勝手に食べてまったからや
部室のベンチにポン、と置いてあったら誰でも食べたなるわ…
そんで、俺が部室でそのお菓子を食べとったら部室に入ってきたせいな。
当然俺がお菓子食べとるとこを見て機嫌悪くしてるっちゅうことや
軽く、はぁとため息をつくとやっとせいなが口を開けてくれた
『むぅ…悪いと思ってるならお菓子買って…そのお菓子一緒に買いに行こ…?』
うっ…上目遣いでそないなお強請りされちゃ俺断れないやん…
ま、元から断るつもりなんてないんやけどな
そんな内心を隠して
「ん、そない簡単なことか。ええで今日の放課後買いに行こか」
そう俺が言うたとたんにせいなはニコニコしだしよった…
ほんまコイツはちょろいなぁ
ちょろすぎて他の男について行きそうで俺怖いわぁ
まぁ、そないな事にならへんように俺がせいなの事きっちり見て守ったるからな
「よし、ほなとりあえず部活さんかしよか?跡部のところにメニュー聞きに行くで」そう言って俺が歩き出すと
ひょこひょこと後ろを付いてきよるせいな
あぁ…小動物みたいでめっちゃ可愛ええ…
そないな事を俺は
思いながらせいなと跡部のところへ行った