第1章 弟からの呼び出し
「部活は?」
「琥珀がいるよ。」
「ちゃんと言ってるの?」
「あぁ、そのために来てもらった。」
「…征くんは?」
「ここで玲央たちと一緒に待ってるよ。
久しぶりに会うだろう?」
「そう、だけど…。
征くんと離れたくない…。」
「…。」
なんて幼稚だろうと、顔を下に向ける。
確かに強豪校である洛山に通うとこが決定して、会う機会が減った。
事件にも巻き込まれやすい体質なのか、会う約束しても事件のせいで会えていないのもあるのだが…。
「今日はゆっくりしてきな、って。」
「そうよー?
そのために来たんだし。」
「赤司のことはこっちで任せろって。
休ませる気で来たからさ!」
なんて背を押される言葉をかけられたこともあって、私は頷くことにした。
だけど、この選択が後々後悔することになるとはその時は知る由もなかった。