【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第8章 DAY4【カイル・アッシュ】
AM6:00
外に馬車がやって来る音がした。
レイアもエドガーもすっかり身支度は済ませてある。
「カイル、今日も二日酔いかな…」
「可能性は大ですね…正直時間通りにここに来たことがそもそも奇跡的です」
二人は外に出て馬車を出迎えた。
「……あー…だりーぃ……」
気だるさ2割増のカイルがのっそり馬車から顔を出した。
「あ、やっぱり」
苦笑しながら、レイアとエドガーは顔を見合わせた。
「ん?あ、お前ら……なんだー?二人して…」
「何でもないですよ。カイル、申し訳ありませんが足が無いので馬車に同乗しても?」
「もちろんだ、俺も朝まで飲んでてその帰りだ」
(えっ、朝帰り?!)
エドガーも当たり前のようにカイルの言うことを受け入れ馬車に乗り込む。
三人を乗せて馬車が動き出すとカイルが口を開いた。
「なぁ、レイア」
「えっ?あ、何?」
カイルの顔色はとてつもなく悪い。
「今日は午前中だけ往診あるから付き合えなー。後は急患でもいない限り予定は空けてある。お前の好きなトコ付き合うぞ」
(その顔色で今言ったスケジュールこなせるとは思えないんだけどなぁ)
時折えずくカイルを不安そうに見つめながらレイアはとりあえずうなづいた。
「病人に勝るとも劣らない顔色だなぁ」
清々しい笑みを浮かべながらエドガーが代弁してくれた。
「あまりレイアに迷惑をかけないでくださいね?」
「あー?心配すんな…何回二日酔いやってると思ってんだ……こっちはプロだぞ……ぅ……っ」
(全く自慢にならないプロだよ…)
心の中でそうつっこみながらも、レイアはそっとカイルの背中をさすってあげていた。
赤の兵舎到着後、エドガーは任務に戻っていった。
カイルは水を飲んで何度か姿を消した後、いくらかすっきりした顔になってレイアの前に戻ってくると
「よーし、往診行くぞー」
と、カバンを持って現れた。
「カイル、顔色良くなったね。もう大丈夫?」
「ああ、まだ4割くらい残ってるけど問題ねー」
(半分弱残ってるんだ…)
よく見ると少しだけふらつきながら先を行くカイルを追いかけて、レイアは共に兵舎を出た。
眩しいほどの青空が広がる、よく晴れた朝だった。