【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第6章 DAY3【エドガー・ブライト】
AM11:00
黒の兵舎。
早朝から外出していたシリウスは、戻るや否やレイの待つ執務室へ直行する。
「今戻った」
「ん、お疲れさん……で、どうだった」
レイは机の上で手を組みながら視線を投げてよこす。
「セントラルの水面下に潜んでいたアモン一派の残党が、『返還の祭典』についてかぎ回っているらしい」
レイの眉がピクリと動く。
……深夜、赤の軍からの極秘の伝令によってシリウスはランスロットに呼び出されていた。
早朝、赤の兵舎に赴くと、ランスロットとヨナが待ち構えており、エドガーの部下からの情報が共有されたのだった。
「返還の祭典はそのまま執り行うが、赤の軍では念のため日中の行き先を幹部に共有し、違和感のない程度に警備をつけるそうだ」
「ふぅん……そうか」
レイはそのまままつげを伏せ、思いを巡らせるようにため息をついた。
そして、おもむろに視線を上げると
「……なぁ、シリウスどう思う」
と助言を乞うた。
シリウスは冷静な声色で答える。
「もしアモンが再びお嬢ちゃんを狙うならば、やはり目的はお嬢ちゃんの『能力』で間違いないだろうな。能力を喪失されてはもう企みが叶えられない」
「アモンはこの儀式の意味をどこまで知ってるんだろうな」
「全て知っていると仮定するなら……ヨナとの結婚を妨害したいはずだ。ランスはそれを警戒してる」
するとレイは眉根を寄せた。
「でも、俺がアモンの立場だったら今は手を出さねーな」
「……同感だ」
シリウスもうなづく。
「やるとしたら…『全部返し終わった直後』だろ」
「ビンゴ。それな」
レイがにやりと笑って答える。
「まぁ儀式の間も警戒するにこしたことはない。それにな…どの道今日は俺たちが動かないとならんらしい」
「ん…どういうこと?」
シリウスがため息をひとつついて答える。
「今日……赤のジャックとお嬢ちゃん、黒の領地内でデートらしいんだ」
レイが目を見開く。
「何そのめんどくせー展開」
「知らねえ……で、どうするよボス」
レイの盛大なため息が響いた後、指令が下った。
「……ルカに事情説明して警備にあたらせて。一応同級生だし…あいつが適任だろ」
シリウスがふっと笑う。
「了解、ボス」