【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第5章 2nd Night【ヨナ・クレメンス】※R-18
Jonah side--------
月小屋へ向かう馬車の中
レイアはずっと黙ったままだった。
(何で今更ドレスや指輪のことを蒸し返したりするんだろう)
その真意が分からず、理由を問いただす気にもなれないまま
ヨナはレイアが口を開くのを待っていた。
しかしレイアは、月小屋に着いてからもずっと黙ったままだった。
中に入り、耐え切れなくなったヨナが口を開く。
「ねぇ、さっきから何を怒ってるの?」
すると、面食らったような顔をしてレイアは答えた。
「……怒ってなんかないよ…ヨナこそ…」
「え?」
「さっき怒ってたから」
(まださっきのこと気にして…)
「それは君が…一度決まったことを蒸し返すようなこと言うから……」
するとレイアは眉根を寄せ、今にも泣きそうな顔をする。
「……確かにドレスを着るのは私だけど…でも結婚式は一生に一度、二人のものでしょ?だからちゃんと、ヨナにも納得してもらいたかったし、見て欲しかった」
(……そんなこと気にしてたのか…)
てっきり式を挙げることに躊躇いが出たのかと思っていたヨナは、俯くレイアの頭をそっと撫でた。
「……ドレスなんて、正直なんでもいいんだ」
「えっ…?」
驚き顔を上げたレイアの瞳にはうっすら涙が浮かぶ。
ヨナは目じりに指を寄せ涙をぬぐう。
「どんなドレスを着てたって、君は君だし…第一君に似合わないドレスなんてあるはずない」
「ヨナ、それって…」
顔を赤くして固まるレイアの頬を、ヨナはゆっくり撫でる。
「ドレスは女の子の夢なんだろ?正直俺にはよく分からないから、君が気に入ったものならそれでいいと思っただけだよ」
指先から伝わる頬の火照りがいとおしく感じる。
「ヨナ」
「ん?」
「私が結婚相手で、本当にいいの?」
(今更なに言ってるんだよ…)
しかし、目の前で真っ赤になりながらそう尋ねるレイアに、苛立ちは沸かなかった。
むしろ愛おしさがこみ上げ、ヨナは思い切りレイアを抱きしめる。
「……っ!」
「………じゃなきゃ科学の国まで追いかけたりしないよ」
そう言って、レイアの顎を捉える。
そのまま何も言わず、ヨナは唇を重ねた。