【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第2章 DAY1 【ランスロット・キングスレー】
AM6:00
すっかり明るくなった初夏の朝。
レイアの部屋をノックする音が響いた。
「はい」
殆ど眠ることができなかったレイアは、もう身支度を整えていた。
「俺だ」
レイアが扉を開けると、そこにはランスロットが立っていた。
ランスロットはレイアを見るや、少し目を見開き驚く。
「……準備万端だな」
「はい、あまり眠れなかったので…」
「そうか…無理もない」
ランスロットは僅かに微笑み、レイアの頭をぽん、と撫でた。
「すまんが今日は午前中だけ急ぎの仕事がある。退屈かもしれないが付き合え。その後はお前の好きなところへ付き合おう」
「分かりました。…何かお手伝いしましょうか?」
「いや、それには及ばん…お前はただ俺のそばにいればいい」
深い意味のこもった言葉ではないと分かっていても、レイアは僅かに胸の高鳴りを覚える。
「ランスロット様、朝食は?」
部屋を出て並んで歩きながら、レイアが問う。
「いや、まだだ。別にいらん。それよりも先に仕事を片付けて……」
「ランスロット様、いけません」
レイアは思わずランスロットの手を取る。
「ちゃんと食事を取らないと。カイルもいつも言ってますよ?」
「……ほう」
ランスロットは目を細め、レイアに取られた手に視線を落とす。
「あ、これは……すいません」
レイアが慌てて手を引っ込めると、ランスロットは再びその手を取り、逆の手で顎を掴んだ。
「……っ!」
「この俺に指図をするとは…出だしから調子がいいようだな、アリス」
「いえそんなつもりでは……」
ランスロットの覗き込む目が蟲惑的に光った。
否応なしにレイアの顔が熱を帯びていく。
「……よかろう、そこまで言うならばお前が俺の朝食を作れ」
「えっ……」
予想外の答えにレイアは目をしばたく。
「お前の手料理ならば食べてやろう。その間俺は執務室で仕事をしているから、作り終えたら部屋まで運べ」
ランスロットの言葉はいつも「YES」以外の答えを言えない力を持っている。
「わ…わかりました……」
レイアの返事を聞くと、ランスロットはマントを翻し執務室へと向かって行ってしまった。