【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第14章 DAY7【シリウス・オズワルド】
セントラル地区。
日が落ちて、魔宝石の街灯が辺りを照らす頃。
「シ、シリウスさん……ここ……」
普段滅多に訪れることの無いような、いかにも高級なレストランに連れてこられ、レイアはシリウスの背中に隠れたまま出てこれなかった。
「ん?あまり好みじゃなかったか?」
「いえ、そういうわけではなくて……その、こんな高級なお店、ドレスコードとか大丈夫ですか?」
店内にいる客達は着飾った人が多く、普段着姿のレイアとシリウスはちょっと浮いているようにも見えた。
「あー、大丈夫だ……」
シリウスは人を探すように辺りを見回すと、一人のウェイターが反応した。
「よう、シリウスじゃないか」
「久しぶりだな。……悪いが、個室取れねえか」
ウェイターたシリウスの同級生らしく、レイアに一瞬視線を送ると何かを悟ったように頷き
「今用意するよ」
と、奥へ行き、そのまま個室へと案内してくれた。
「個室なら平服でも気にならないだろう?」
(あ、シリウスさん気にしてくれたんだ)
こじんまりとした部屋だが綺麗に飾られた個室に通され、シリウスがレイアの椅子を引いてくれる。
「ありがとうございます」
「何が食べたい?今日のバイト代だと思って、何でも好きなだけ頼んでいいぞ」
「何でも…?!えっとそれは……」
言いよどむレイアにシリウスが方目を瞑る。
「もちろん、食後のデザートも含めて、だ」
フルコース並みのオーダーを全て平らげ、その上デザートも完食したレイアを見て、シリウスは笑いながら呟いた。
「しっかし本当によく食べるな、あんた」
「え、あ……すみません…食べ過ぎですよね」
「いや、いいんだ。見ていて気持ちがいい」
シリウスのすがすがしい顔を見て、少し恥ずかしい気持ちがこみ上げる。
「食べるってのは大事なことだからな。それに……あんたの幸せそうな顔は、見てて飽きねえ」
「えっ……」
その言葉に、胸がドキリと音を立てる。
「あんたのそんな顔……また見れると思わなかった」
「シリウスさ……」
考えてみれば、月小屋の宴の後、ロンドンに帰り、ヨナが迎えに来て……二人で戻ってきた時にガーデンで顔を合わせたくらいであとは殆ど会っていなかった。
過去の記憶が紐解かれる。