第1章 プロローグ。
「お前は受験生だと言う自覚を持て!」
「うす。すみません」
「お前、地頭は1つ抜けているのに、授業中は爆睡するわ、提出物は誤魔化すわ、……俺はお前が心配過ぎて食い物が喉を通らん」
「二日酔いの胃もたれでは?」
「ご名答」
先生も校長に巻き込まれて大変だなぁ。
何かいい薬知らねぇ?と聞かれたのでパパさんが使っていたものを勧めておいた。
受験かぁ。頑張れば進学校も受かるだろうけどヒーロー志望でない私にはほとんどの進学校は意味を成さない。
結局受けることにしたのは近場の明星高校。
公立校のパンフレットから目隠しして選んだ。なんて言えない。
家に帰ってみれば、豪勢な料理が並ぶ。いつもの事なので慣れっこだ。
此処は朝から天ぷらやロールキャベツが並ぶ家。胃もたれには強い家庭です。
「ただいま帰りました。おばあちゃん、今日もすごいですね、刺身?」
「そうなのよ~。真莉ちゃんが頑張れるように。ばあちゃんよ、真莉ちゃんが刺身食べたいべなぁって思って。買って来たのよ」
うちのばあ様。
元気いっぱい、無個性なのになんでもやっちゃうスーパーばあちゃん。
粘土で綺麗なお人形さんや編み籠のバックを作ったり、お洋服のお直ししたり、とにかくハイスペック。
朝から天ぷら揚げたりするのもこの方。
ただし、財布の紐が緩い。
「姉ちゃんおかえり!」
「ただいま、優太」
弟、ゆうた。
自然な流れで抱きしめる。小猿のような可愛い見た目と中身。可愛い顔して腹筋割れてる吹奏楽部員。
ただし、極度のゲーム依存でケータイゲーム機が生命線。個性はバーチャル。ゲームの中に入り好き放題することができる。プログラミングされていることが条件なのでアニメには入れない。
これまた一般には没個性と呼ばれるもの。
うちの家系は無個性が強くて私と弟の代からの個性持ち(父方の祖父母の個性が隔世遺伝した)
没個性だろうが、私達自身が個性を気に入っているので問題ない。
刺身を頬張りながら、ぼーっと考えていたため、弟が呼んでいることに気づかなかった。
「姉ちゃんってば!見て!教科書に乗ってる人出てるよ!」
「ん〜……え!?この人死んじゃったの?」
現実に引き戻され、ニュースの画面を見ると緊急速報で訃報が流れていた。