SUNNY DAYs(進撃の巨人 高校生パロディ)
第3章 『塾にて』(ベルトルト)
「あれ?今日出席者、少ない」
いつものように塾に行くと、にぎやかな教室が、今日はシンと静まり返っていた。
「今日は練習試合で野球部組がいないからかもね」
後ろから来ていたベルトルトが言った。
「ああ、ベルトルさん。今日一高と試合してるんだ。じゃあ、ライナー休みだね」
「そっちのエレンも休みだね。ミカサは?」
「ミカサも今日は練習」
「そっか」
自然と隣に座る。なんだか久しぶりに落ち着いて授業を受けられそうだ。
そう言えば、ベルトルトと二人で話すなんて久しぶり、いや、初めてかもしれない。
「一高って、今授業どこまで進んでるの?」
「うち?今ここ」
「え?超早くない?うちらまだここだよ」
さすが超!進学校!
やっぱり進度もちがうのね、とふとベルトルトを見上げると、近距離で目が合ってしまった。
「「!!」」
距離が近すぎて、思わずお互いに少し距離を置いた。
「ごめん…」
そして先に謝られてしまった。
「いや、こっちこそごめん」
なんだろう、エレンとはこういう空気にならないのに。おかしいな…。顔が熱い。
「指、怪我したの?」
シャーペンを持つ、私のバンソーコーだらけの指が気になったのか、ベルトルトが聞いてきた。
「あ、うん。バイトで、ダンボールで切っちゃって」
めんどくさくて素手で梱包剥がしたり、ダンボールつぶしたりしてるとよくやってしまう。カッター使わないとあかんのだけど、数やってると、どうしても横着してしまう。
「そこも切れてる」
ベルトルトに言われて、右手の小指の下を見ると、けっこうぱっくり切れていた。
「ほんとだ。怪我が多すぎて、気づかなかった」
不思議なことに意識し出すと、急に痛くなるもので、血は止まってるものの気になる。
「俺、バンソーコー持ってるよ」
そう言って、自分の胸ポケットから一枚取り出した。
女子力たけぇな、おい。
と、思って見ていると、静かにバンソーコーの紙を開き始めた。
「貼るよ。右が利き手だろ?」
「あ、助かる。ありがとう」