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愛される少女【HP】

第83章 ホグワーツ特急に乗って


「エーッ!」

クィディッチの選手やクィディッチを楽しみにしているほとんどの人が絶句している。フレッドとジョージはあまりのことに言葉もなく、アルバスに向かってただ口をパクパクさせていた。

「これは、10月にはじまり、今学年の終わりまで続くイベントのためじゃ。先生方もほとんどの時間とエネルギーをこの行事のために費やすことになる...しかしじゃ、わしは、皆がこの行事を大いに楽しむであろうと確信しておる。ここに大いなる喜びを持って発表しよう。今年、ホグワーツで......」

ちょうどこのとき、耳をつんざく雷鳴とともに、大広間の扉がバタンと開いた。戸口に一人の男の人。長い歩行杖に寄り掛かり、黒い旅行用マントを纏っている。大広間のすべての頭が、いっせいに見知らぬその男の人に向けられた。

そのとき天井を走った稲妻が、突然その男の人の姿をくっきりと照らし出す。男の人は、アルバスに向かって歩きだした。再び稲妻が天井を横切る。隣のクレアが息を呑んだ。まぁ、あの顔では無理もないだろう。

「だ、誰なの...」

クレアがポツリと呟く。それの答えはすぐわかった。

「闇の魔法に対する防衛術の新しい先生をご紹介しよう。ムーデイ先生じゃ」

静まり返った中で、アルバスが明るい声がそう言ったからだ。新任の先生は、拍手で迎えられるのが普通だが、ダンブルドアとハグリッド以外は職員も生徒も誰一人として拍手しない。2人の拍手が、静寂の中で寂しく鳴り響き、その拍手もすぐにやんだ。

他の全員は、ムーディ先生のあまりに不気味なありさまに呪縛されたかのように、ただじっと見つめるばかりだった。ムーディ先生は、お世辞にも温かいとはいえない歓迎ぶりにも、まったく無関心のようだ。目の前のかぼちゃジュースの入れ物には目もくれず、旅行用マントから今度は携帯用の瓶を引っ張り出して飲みはじめた。

「あの顔は...?」

クレアの問いに答える前に、アルバスが咳払いをした。そして、釘付けにされてしまったかのようにムーディ先生を見つめ続けている生徒たちに向かって、アルバスがにこやかに語り掛ける。

「先ほど言い掛けていたのじゃが。これから数ヵ月にわたり、我が校は、まことに心躍るイベントを主催するという光栄に浴する。この催しは、ここ百年以上行われてはいなかった。この開催を発表することは、わしとしても大いに喜ばしい」

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