第12章 惑わせ
◇◇◇
「んッ…ッ…あ、れ……」
目を開けると見えるのは天井。
また、どこかで倒れたのだろうか……。
確かご飯食べ終わって……人に、石切丸さんに会ってから……く、唇をっ
「思い出すとよくないものだね……でも、あれからどうし…………!?」
石切丸「おはよう主」
横たわっている私のそばに座っているのは私が覚えている記憶に最後に出てきた石切丸さん。
キスしたことを思い出すと、すごい恥ずかしい。
「お、おはっ……よ」
石切丸「主、ほら起き上がれるかな?ゆっくりと深呼吸して落ち着かないと昨夜のようなことになるからね」
「……昨夜?」
言われた通り身を起こして深呼吸を繰り返すが昨夜、という言葉に私は反応をした。
記憶が曖昧とはいえ昨夜のことは思い出せそうにない。
石切丸さんと……キスして、そのあとのことがまったくだ。
石切丸「覚えて、ないのかい?」
「え、えぇ……石切丸さんと…………口吸いした辺りから、何かぷつんと切れたような……何も思い出せなくて。もしかして失礼なことをっ」
石切丸「……いや、何もないよ。あのあと顔を真っ赤にさせた君が気を失ったくらいで」
「てことは……も、もしかしてここまで運んでくれたのって……ごめんなさいっ!主としてしっかりしようって決めたのに全然ですね……」
キスで気絶って……はずかしぬ。
いろいろあって完全には疲労も回復してなかったのが原因なんだろうけどそれでも石切丸さんに世話になった事実が申し訳ない。
私はすぐに正座をすると頭を下げた。
石切丸「そんな謝らなくてもいいよ。私としては残念なところではあるけどね?」
「……あ、の……気になっていたこと、聞いてもいいですか」
ずっと気になっていたことがあった。
石切丸さんは他の刀剣男士とは違うところがある。
それなりの刀剣男士に会ったが、多分石切丸さんだけ違うのだ。