第5章 食戟
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ふみ緒「そう!十傑にはそれほどの価値がある」
十傑という立場がどれだけすごいかということが、幸平くんは痛感したらしい。
ふみ緒「かつてはこの寮から毎年の様に何人もの十傑を輩出したもんさ。まさしく極星の黄金時代…」
うっとりと目を閉じ話すふみ緒さん。
ふみ緒「それに比べてあんた達の情けない事!」
先程までうっとりとしていたのに、コロリと表情を鬼に変え、怒りだす。
佐藤「あぁもう聞き飽きたっての!」
青木「一人は居るんだから我慢しろよふみ緒さん」
怒りの連鎖だ…
一色「もし僕が了承すれば対戦は可能だが、勿論僕は君が学園を去る事なんて望まない」
一色「結論、勝負は成り立たないというわけさ」
創真「まじかー…今朝五時起きして気合い入れたのにー」
かなりガッカリした様子の幸平くんだけと、十傑に勝負を仕掛けるなど、かなり無謀すぎてあわれてしまう。
恵「ていうか第七席に挑むなんて無茶だよ…」
悠姫「たぶん彼バカなんだと思うな」
確かに本当のバカなのだろう
一色「それにね、好き勝手にやれるわけでもないんだ。勝負に必要なものは三つある」
幸平くんは、えっそうなの?と言う様な顔をした。
一色「正式な勝負である事を証明する認定員、奇数名の判定者、そして対戦者両名の勝負条件に関する合意。以上により初めて成立するんだ」
一色「敵対する者此れ全て、料理を以て捩じ伏せるべし」
一色「遠月伝統料理勝負一騎打ち!!」
一色「その名も」
一色「食戟」
創真「食戟――――」
幸平くんは、その言葉を目を見開いて言った。
─敵対する者此れ全て
料理を以て捩じ伏せるべし─
この学園では、本当の意味で料理が全て。
歯車が大きく廻り始めた。