第4章 遠月十傑評議会
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「美しい…雪解けだったよ創真くん…!」
感動し、涙を流す一色先輩
創真「先輩こそな…!清々しい春風、感じたぜ…!」
照れくさそうに、でも、嬉しそうに言う幸平くん
一色「いい勝負をありがとう!」
ぐっと、二人は握手をした。
二人の心は一つだった…
と、その時、恵は目を覚ます。
恵「(何だべこの状況)」
涙を流す半裸の男と握手を交わす同級生の図。恵には、何があったのか想像もつかなかった。
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悠姫「丸井!丸井ー?」
涼子「だめだコレは起きないね…」
丸井善二、絶賛爆睡中だった。
全「………」
部屋を見渡す。あまりにも酷い惨状。
青木「よし解散!」
佐藤「次は絶対片付けて帰るからな丸井!ほんと次こそはな!マジで!」
自分たちからやっておいて結局はやり逃げ。
次こそは片付けて帰る、このセリフは何度目か…丸井善二も苦労人である。
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恵「それにしても一色先輩…どうして料理対決なんて仕掛けたんだろ」
話を聞いた恵が言う。
涼子「さあ…気まぐれな人だから」
悠姫「あんな奇人の考えること気にしてもしょうがないって!」
気にしない、これで片付けられてしまったが、伊武崎峻はそれについて少し考えていた。
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一色「さぁ丸井くん、温かくしてお休み…」
熟睡する丸井に、一色先輩は掛け布団をかける。
そこで、包丁の手入れをする幸平に話しかけた。
一色「創真くん!この歓迎会で晴れて君も極星の一員だ」
一色「分からないことがあれば遠慮せず聞いてくれ」
創真「じゃあー」
その質問は、てっぺんを目指す彼女ならではの質問だった。
創真「十傑ってどうやったら入れるんですか?」
一色先輩は驚いたが背を向けていた為、その表情は幸平くんに分からなかった。
ニッコリと振り返る。
一色「ふふ…そうだった君は、この学園の頂点を獲るんだったね」
創真「ちょっとした親子喧嘩の最中でウチの親父に認められるにはそんくらいやんないとダメなんで」
幸平くんは立ち上がり、一色先輩を見下ろす─
創真「さっきの対決は引き分けでしたけど
今、先輩に勝ったら、俺が遠月で七番目になるの?」
─その目は、どこか自信に満ち溢れているような、そんな目をしていた。