第3章 息もできないぐらいに
「はあ・・・」
気が重い。あの合同練習から数日後。再び鮫柄学園に向かう電車の中で、私は思わずため息をついてしまった。
「どうしたの?ヒカリちゃん」
「ご、江先輩。い、いえ、なんでもないです」
私の右隣に座っていた江先輩にも聞こえてしまったらしい。心配そうに私の顔を覗きこんでくる。
「浮かない顔してるけど・・・もしかして宗介くんのこと?」
江先輩は鋭い。いや、この前の合同練習の後、どうしても我慢できなくって先輩方みんなの前でぶちまけてしまったから、無理もないかもしれない(もちろんパンツの件は伏せて話した)
「はい・・・ものすごい捨て台詞を残して来てしまったので、今日会ったらぶん殴られるんじゃないかなって・・・」
「あはは!それはないない!宗介くん、見た目は怖いけど優しいんだよ?小さい頃お兄ちゃんと一緒によく遊んでもらったっけ」
江先輩は昔を思い出してるのか、うっとりと目を閉じる。
優しい?・・・嘘だ。優しい人は、人のパンツの柄でからかったりしないと思う。