第9章 はずむ心
「はぁ・・・」
6月の強い日射しがギラギラと照りつけている。足を蹴りあげると、パシャパシャと水しぶきが上がった。
ここは岩鳶高校のプールだ。誰よりも早くやってきて準備を始めていた私だったが、今日はあまりにも暑くて足をプールにつけて少し涼んでいたところだった。ここのところ、日中は急に暑くなった気がする。
最近・・・というよりも、宗介さんのことが好きだと気付いてから、よくため息が出る。でも、つらくて苦しくてどうしようもないため息ではなく、これは甘く切ないため息だ。
宗介さんとこんなこと話したな、とか宗介さん今何してるのかな、宗介さんに会いたいな、とか考えるだけでなぜかため息が出てしまう。
切なくて、少し胸が締め付けられるようで、でも一人でこっそりにやけたり赤くなったりしてしまうような・・・
そして、自分の気持ちに『恋』という名前がついただけで、なんだか世界がキラキラして見えるような気がする。・・・これはホントに不思議だなあと思う。
(あれからもう1週間ぐらい経つのか・・・)
当然といえば当然だけど、宗介さんからの連絡はない。もちろん私からもしてない。特に用事もないのに電話するなんて変だし・・・か、彼女でもないのに・・・
学校が違うって結構大きいなあと思う。学年が違うだけなら頑張ればなんとかなるかもしれないけど、学校が違うとそもそも会うことすらできない。
鮫柄との合同練習もあれからないし、本当に会う機会がない。もう大会も間近だから、それぞれの練習に集中しなきゃいけないのはわかるけど、それでもやっぱり・・・