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突然ですが、これから貴女は諜報員です。

第10章 異世界紳士と秘密情報


右手はフィルと手を繋ぎ
左手は無意識にイヤーカフに触れる

外が暗い中、月だけが明るい


「ティナ… 震えてますよ」


そう言ってフィルは私との距離を詰めて
繋いでいた手を離し
軽く抱きしめるような形になる

安心する…



ねぇ、レン
もしレンが同じ状況になったらどうする?
この場で操縦しているネシスさんを殺す?
それとも自由が利かないようにして
ZI7の事、全部吐き出してもらう?


私はまだ未熟なんだ…
全然… なにもできない…


イヤーカフに触れている左手は
相変わらずそのままで…



「ネシス、早くUSBを渡してください」


「慌てないでくださいフィル
ちゃんとお渡ししますから」


ヘリの外をふと見ると
今、海の上を飛んでいることが分かる
とすれば、海岸沿いにあるlexxは近い

あぁ… 良かった…
ちゃんとlexxに戻れるんだ…


「間もなくlexxに着きますよ
それからフィル
これは貴方が持っていてください」


操縦しつつもネシスさんが
USBを後ろの座席のフィルに渡そうとする


「ええ、当たり前です
これが無ければ今回の仕事が白紙にー」


ガタン!


フィルが言い終わる前に機体が大きく揺れる
そのはずみでフィルの手に渡る前に
USBメモリが落ちてしまった


「これは…!」


フィルが目を見開きながら外を見る


後方には武器をありったけ積んであるヘリが…


「くっ… 追われてたみたいですねZI7に」


「あっちは
ネシスがここにいると知っているですか?」


「いえ、それはないと思いますよ
ただどこからかティナを乗せたlexxのヘリが
下手な操縦士の元
海上にいるという情報が入ったのかと思いますが」


いつもなら、上空で攻撃をされてきても
元海陸追跡班リーダーのホールさんが
殆ど操縦していたので
毎回無傷で切り抜けていた

…が今回はそうはいかなかい


機体は次々に攻撃を受けて大きく揺れる
lexxは辛うじて見えるが
応援に駆けつけてくれるより先に
こちらのヘリが墜落するのが先だ


「ネシス!もっとかわしてください
情報員が操縦なんてやるものじゃありませんよ」


「無事たどり着きたいのは山々なのですが…」


相変わらずネシスさんの髪で顔が隠れて
表情は伺えないが
かなり焦っているのはわかる
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