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太宰さんのいもーと【文豪ストレイドッグス】

第1章 妹の悩み


「確か、君の兄は探偵社に居たな。

その兄に頼めば良いのでは?」

突然出てきたお兄ちゃんの話に思わずAを睨む。

なんて返そうかと思っていたら中也が仲介に入ってくれた。

「おい、A。

確かにこいつにはクソ兄貴が居るが、

マフィアを捨てて探偵社に行った裏切り者だぞ?

そんな奴が手を貸してくれると思うか。」

だが、それがAの作戦だったようだ。

「ほう、ならば彼女が兄と繋がって居た場合、

マフィアの情報は探偵社に筒抜けだな。」

「なっ!」

中也が驚きの声を挙げ、私が目を見開いた時、姐さんと森さんが少し怒った。

「いい加減にせい、A。」

「そんなことを云ってしまうと逆に君にスパイ容疑がかかってしまうよ?」

「……それは済みません。」

「まぁ、いい。

じゃあ、次の議題に移ろうか。」

「「「はい。」」」

ただでさえ今のAとのやり取りで疲れたから

もう私の部下の話は出て欲しく無かったのだけれどそうはいかないらしい。

「次はね、その行動を起こした樋口さんと芥川君の話なのだけれど。」

「……度々済みません。」

「いやいや、君のせいではないよ。

で、それで一時的とはいえ黒蜥蜴を使えなくしてしまったからね。

少し軽率な行動は控えるように云ってもらえるかな?」

「はい。本当に済みませんでした。」

「うん、では次ね。

さっきA君の話にも出てきた太宰くんの話なのだけれど。

もうすぐ誕生日だろう?だからまた勧誘話はあるよと云ってくれないかな。」

また目を見開くような事を云う森さん。

「………………。」

「君?」

「は、い。…………今度……云いに、行きます」

「済まないね、君の口の方からだったらもっと良いだろうから、頼んだよ。」

「はい。」

森さんの云いたい事が判った。

お兄ちゃんがマフィアから居なくなってもう4年。

私とお兄ちゃんが喧嘩してもう4年。

いい加減仲直りしろと云うことなんだろう。

そうは云っても無理だ。

もうお兄ちゃんは私と喋ってくれないから。


会議終了後に中也に話し掛けられた。

「さっきの……あいつへの勧誘話だが……」

「うん。」

「あれだったら……俺が行くぞ?」

「ううん。いいよ、私が行く。」

「……大丈夫……なのか?」

気付いたら服を掴んで、唇を強く噛んでいた。
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