第1章 妹の悩み
「あれ?」
おかしいな、空がなんだか段々明るく……。
そばにある時計を見る。
6:00
「また、中也が来るかなぁ?」
昨日から一睡もしてないなーとぼーと思う。
あんまり中也を煩わすともう構ってもらえないかもしれない。
ただでさえ昨日はあれだけ構ってもらったのだ。
「今日の会議は6時30分からだよね、確か。」
人虎の話だろうか。
まぁきっとそうだろうと思った。
着替えて、髪結んで。
「さて、行こうか。」
こんな早く出勤するなんて珍しいと思う。
今日は6/15。
あと4日でお兄ちゃんの誕生日。
この時期が一番嫌い。
お兄ちゃんに会いたい気持ちが一層強くなる。
いっそ死んでしまえば楽になるかと思う。
死んだら、お兄ちゃんは私を見てくれるだろうか。
いや、見てくれないだろう、見る訳が無い。
どうすれば……私と喋ってくれるかな。
どうすれば……私を見てくれるかな。
どうすれば……また昔みたいに……
「おい!」
「え?」
突然聞こえた中也の声は見事に思考を停止させた。
「手前どうしたんだよ?」
「何が?」
「手前が会議に遅刻しねぇなんて明日の天気なんだよ。」
「ちょっと酷くない?
私なんだと思われてんの。」
「ま、毎日これだと良いんだけどな。」
「会議を始めます。ってえ?」
「ん?」
中也以外の皆がこっちを見てくる。
「珍しいね。」
「珍しいのう。」
「中也といい、皆酷くない?」
「あぁ……御免ね。
さて、会議を始めようか。」
流石森さん。ナイスフォロー、有り難うございまーす。
「まず、人虎君?の話なのだけれどね。
黒蜥蜴が探偵社に行って返り討ちにあっただろう?
それをどうしようか。君。」
「えーとですねー。
正直、私は芥川君が何してるかどうか知りませんし、人虎君がどんな子かも知りません。
賞金が賭けられている、という情報しか知りません。
ただ、相手が探偵社にいる以上は手は出せないかと。」
「ふむ。
それもそうだね。まぁ出来たら欲しいけどね。」
「力不足で済みません。」
「いやいや、良いんだよ。
では、これについて誰か意見はあるかな?」
「はい。」
と手を挙げたのはAだった。私がマフィア内で一番嫌いな人間。