第39章 変ホ短調 回り始めた歯車
「私たち……草山家の者は、音姫もしくは音帝が決まるのは知っていますね?」
「ああ。咲良も確か音姫だったよね。」
「はい。しかし、仮のですが……。」
「仮……?」
私はうなづき、草山家に起こった歴史を話していった。
「この戦国時代が終わると、次に江戸時代というものが出てきました。
しかし、この時代には酷い仕打ちをされるもの
と
豊かなものと、
区別されていました。
そして、予想外のことが起こりました。
草山家はこの時代の将軍の縁談を断ったんです。
その途端、将軍は気を触れて草山家のものを殺していった。
元から下の立場だった者・華山家は音姫と武将との間に生まれた子供を守りました。
そして、その子供は身を隠しながら、生きていました。
その子供が大人になると華山家は縁談をし、子供を産み
そしてその子供が大人になるとまた華山家の者と縁談をし、子供を産んでいきました。
しかし、江戸時代が終わると平和な時代と変わっていき、産む子供の数が増えて当主争いがあったのです。
第一候補が咲良姉上、第二候補が私でした……が、しかし、他のきょうだいたちはそれを許してくれませんでした。
咲良姉上が行方不明になったあと私は、一人になってしまい、いじめられ、傷ついてついには、自殺をしようと思いました。
そして、今に至ります。」