第33章 ホ長調 攫われの音姫
「ん?あ、咲良さんじゃん。いや、咲良様って呼んだほうがいいかい?」
「『咲良様』?咲良様ってどういう意味だよ?」
と幸が言う。
「だって、この子……。」
まずい……
「織田の姫君だもん。」
こ、ころされる……!?
「姫君!?こんなイノシシ女が!?」
「だから、琴が弾けたのか。普通の家では弾けないからな。」
……怖い。
誰か……
たすけて……
「何震えてるの?咲良様。大丈夫、殺さないよ。ただ、春日山城に連れていくだけだから。」
と義元さんに捕まる。
「きゃ!!は、離してください!!」
「だめ。ほら、信玄、幸村。行くよ。」
「義元、天女には優しくしないとな。」
「よ、よ、よ、義元、よくそんなことを……!!////」
幸の顔が赤い。