第30章 嬰弍点イ、嬰弍点ロ 二人の音姫
「ふーん。そう言う経路ね。まあ、ちょうどいいわ。少し訂正させてちょうだい。」
と奏耶さんが言う。
「私たち音姫と音帝は、決して恋をしてはいけないの。」
——言わば、禁断の恋ね。
奏耶さんが少し笑う。
「私たちは、音だけを愛さないといけない。だけど、あなたの時代ではそれが違うらしいわね。困ったものね。」
と今度はため息をつく。
「あ、じゃあ私そろそろ行くわ。しばらくいるけどすぐ、京に帰るから。」
奏耶さんはそう言って退出した。
……華山家……いや、私の本当の苗字を祖母から聞いたことがある。