第30章 嬰弍点イ、嬰弍点ロ 二人の音姫
「咲良様?いえ、咲良さんはじめまして。」
彼女は、頭を下げる。
「この度、京の草山からきた現当主の草山奏耶です。あなたの噂は、風から聞きました。」
風から聞いた?
この人は……
「もしかして、現『音姫』様ですか?」
「おや、そう言ってくれると話が早いわ。ええ。私は音姫よ。草山のね。あなたは?」
私は、本当のことを言う。
「私は、華山家15代目当主の音姫……華山咲良。」
「『華山家』の方ですか。」
有名な音楽と舞をするのは、代表として二つある。それが、『草山家』と『華山家』だ。そして、当主はその二つの家から選ばれる。
「でも、15代目?あなた何者?」
「私は、未来から来ました。」
私は、すべて話す。