第1章 ふたりの出逢い
「なんかさ…」
『うん?』
「お兄さんの声、落ち着く…」
『そぉか?あんま、言われないけどな?』
そう言って笑う大和さん。
だけど、あたしにとって心地よい声だった。
「ねぇ、お兄さん……?」
『んー?』
あたしはゆっくり顔をあげた。
そして大和さんの顔を見た。
「……えぇ!?」
『……んー?』
「ちょ、、、に、に、に、に、、、!!!」
嘘!?
マジで!?
大和さんって…
「二階堂大和ぉ!?」
驚くあたしを見て、ゲラゲラ笑い出す大和さん。
『あーぁ、バレちゃった~』
「ちょ、、、嘘!?」
驚くあたしを見ながら、お酒を飲んでは笑う。
『そんなに驚かなくてもいいっしょ?』
「いやいやいやいや!驚くでしょ!!!」
『そうか?』
「そうです!!!」
それにそれに……
お兄さんって……
あたしのほうが年上じゃないかー!!!
『ちゃん?』
「あ、あの、、大和さん?」
『んー?お兄さんだって。』
「いやいや、あたし、大和さんより年上……」
そう言うと、大和さんはまた笑いだす。
『別に関係ないんじゃない?そんなの。』
「えっ?でも…」
『いいの、いいの。』
「……。」
『アイツらといると、どうしてもお兄さんだからな。』
「アイツらって…」
『あー、うちのメンバーね。』
あ…
あぁ……
それは、やっぱり……
「アイナナの、、みなさん、ですか?」
『そ。』
「……ですよね。」
『そんなことより、これからどーする?』
「……えっ?」
『ちゃんがオレの名前言っちゃったから、周りに気付かれちゃってるっぽいしね。』
「あ……」
そうだよ。
せっかくプライベートで飲んでた大和さんの邪魔しちゃったんだ、あたし。
「あたし、これで…」
『なんだよぉ?帰っちゃうワケ?』
「だって迷惑じゃ…」
すると大和さんはあたしより先に立ち上がった。
『これ、二人分、置いとくね。』
ーありがとうございます。
大和さんはバーテンダーさんにお札を一枚渡した。
そして、あたしを見て笑う。
『んじゃ、行こっか?』
「え?」
『えっ?じゃなくて、行くんだよ?』
そう言うと、あたしの手を掴んで歩き出した。