第6章 【5】
昨日。ご飯に誘われた私は、朝早くから服選びで迷っていた。
『これはちょっと可愛すぎ…? んー。これは露出多すぎかな…てかなんで私…こんな事で悩んでるんだろ…』
そう。顔は似てるとはいえ、八乙女楽ではなくお蕎麦屋さんなのだ。
『そうだよね!お蕎麦屋だもん!(笑)
何考えてんだろ!私!(蕎麦屋に失礼)』
私は考えることはやめて1着のワンピースを手に取った。
色は清潔感のある白。
ワンピースだけだとぼわっとして見えるから、腰にベルトを付けてみた。
胸元は…少しあいてるけど…まぁ大丈夫!!
少し寂しい感じがしたからネックレスをした。
『よし!これで大丈夫!!
あ!!やば!あと10分!』
ついつい考えすぎてしまって時間をあまり気にしてなかった。
急げば間に合う時間だ。
私は慌てて家を出た。
『すみません!お待たせしました!』
私が着いた時には山村さんはもう着ていた。
楽「いえ。そんなに待ってないですよ。」
(ん。待って。ふ、服…服かっこいいい!!)
いつも配達をする時の作業服しか見たことがなかった私は、そのセンスに驚きを隠せなかった。
ふと山村を見ると…彼もこちらを見ていたようで自然と目が合った。
『あの…すみません。変ですかね?』
ビクビクしながらそう聞くと…
楽「え…?いやいや!全然!その服…すごく似合ってますよ。」
『ほ、ホントですか?山村さんもすごく素敵です!』
そう言うと彼の頬が少し赤く染まった。
きっと私も少しだけ赤いのだろう。
楽「じゃあ…今日はよろしくお願いしますって年齢聞いてませんでしたよね(笑)」
『はい!あ、私…21です。あなたは?』
楽「近いですね。 俺は22です。」
あれ。八乙女楽さんと同じ…。
そう言えばラビチャのIDも…
聞いていいのかな。 でも、聞かないとスッキリしない!!
『あ、あの!!』
私が急に大きな声を出したから、彼が少しビックリしてしまった。
『あ!すみません!あの…あなたは本当にただのお蕎麦屋ですか?』
楽「……。」
あれ。まずかったかな!?
楽「ちょっと来い。」
『え…。ちょ、ちょっと!』
そう言って私は近くに止めてあった、彼の車らしきものまで連れていかれた。