第9章 ホットはいずれ
壮馬さんの手は驚くほど冷たくなっていた。集中して仕事をしていたこともあって、疲れてしまったんだと思う。
自分が疲れていても、私を気にかけてくれてたことが嬉しくてたまらなかった。
そのあたたかさは、間違いなくいつもお姉ちゃんが与えてくれてていたものと同じ。
手が冷たくても、この人の手はとてもあたたかい。
抱きしめてくれている、壮馬さんの手を両手で包み込んだ。
「壮馬さん、ありがとうございます。とっっても元気頂きました!壮馬さんって、最初から思ってましたけどすごいですね!」
九「それなら、よかった。今の君を我が家みんなは好意をもっている。君を否定したら私たちまで否定することになる。それを胸に留めておいてくれ。」
壮馬さんは、今日の話と姉との関係性について質問してきた。今の住んでる家についても。前から、聞くタイミングを探していたようだった。
「いまのマンションですか。えっと…」
わたしが、言いよどんでいると壮馬さんはドアのほうを見つめた。
九「…李、少しここでいい子にしていてくれ。」
そういうと、壮馬さんはドアを開いた。
壮馬さんの顔はわたしから見えない。相手も見ることができない。生憎、話し声も聞こえないので、黙って座って質問への返答を考えていた。
どうしよ、お姉ちゃんのことは話すべきではない。でもだからといってあのマンションに住んでいることが至極当然かといわれると……
九「李さん、すまない。待たせ…おや。寝てしまったか。」
------
わ~あったかくてふわふわする
まるでハンモックみたい…え、ハンモック?
「!!」
九「おや、目が覚めたようだ。」
「壮馬さん!?なんでわた…!!」
九「眠っていたので、今寝室に運んで「え!?」
たぶん、じゃなくて本当にわたし今顔真っ赤
「あ、歩けますよ!」
九「いいから、おとなしくしててくれ。…ほら、到着した」
「ここ、はまさか…」
キイ
九条が寝室の扉を開けると、広々とした部屋には、大きめのベッドがあった。そこに、九条は李をおろした