第8章 桐嶋さんってこんなひと
私たち姉妹は、似ていないところのほうが多い。お姉ちゃんは、人に好かれやすい愛嬌のある顔立ち。
わたしは…違うと思う…。
もちろん、第一印象は姉のほうが良い。顔だけではないと思う。分かってる、けどとにかく私なりに頑張ってみた。
そんなとき、高校生の頃同級生にこんなことを言われた
『もっと、人にこびない感じかと思ってたんだけど』
わたしは、過度に媚びてるつもりなんかなかった。
行動を見返しても、何かしたわけでもなく。今考えれば、たかが同級生の一言でしかないけれど、わたしには十分すぎた。
姉は愛嬌があるから、みんなつい助けたくなる。と
宏弥くんが、どうして姉と仲良くなったのか分からないけど今、目の前のこの状態をみているだけで気分がわるくなりそうだった。
姉「李?どうかした?」
「え?なんでもないよ?」
姉に微笑んでいるはずなのに、頭がくらくらしてきた
「わたし、壮馬さんに用があったんだ!宏弥くん、お姉ちゃんのことお願いね!」
姉「え?!ちょっと!」
姉がわたしをよびとめる声は耳に届いていたが、壮馬さんがいるであろう書斎へ駆け出した。
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応接間から、書斎は大した距離ではない。そもそも、同じ家なのに大した距離ではないという言葉も本当はそぐわない。
壮馬さんがいるであろう書斎の前に到着していた。しかし、ノックもなにもできないでいた。
なぜなら、別に用があってここまで来たわけではないからである。あの場から離れるための方便。といえど、宏弥くんの手前壮馬さんにはわたしが何か用だったことは証明しておく必要がある。
豪さんから今日、お茶の用意をしている際に宏弥くんがとても勘がいい、ときいてしまった。間違いなく、勘がいいという言葉は外れていないと思う。
わたしとここ九条家のみんなを引き合わせたのはまぎれもなく宏弥くんの存在。
つまり、姉とのことを勘づかれたくない。というか、こんな感情誰にも知られたくない。
「……」
キイ
「!?」
九「いつまで、そうしているんだ?多少は待つつもりだったが?」
そういって、わたしを部屋に招いてくれた壮馬さんはとても、とても疲れた顔をしている。
「…あ、あのまたにしますね、顔色すぐれないですよ?」
九「…」
壮馬さんは、うもすも言わせないかのように部屋へとわたしの腕を取り引っ張った。
