第10章 夏休み前の憂鬱(中原夢)
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夏休みの間近、委員会の先生から放たれた言葉に思わず声を上げそうになる。
「夏休みの期間、一時図書室を解放する。その間はまぁ、飲食を持ち込む人はいないと思うが汚れてしまっては困る。だから週に一回担当を決めて掃除をしてもらうぞ。」
途端に上がる批判の声。
「それって夏休みの間何回かは来なきゃ行けないってことですか?!」
「めんどくさいです!」
そんな私たちに先生は「オープンキャンパスや部活、バイトがある人は無理に来なくてもいい」と言った。
それに数人は納得したが、まだ納得していない生徒が声を荒げる。
夏休みの間に学校に来なければ行けないなんてとても面倒だし、暑いし、私だって来たくなんてない。
「担当はこっちで決めたからちゃんと来るようにしろよ。」
「えぇ!」
....どうやら私たちに拒否権というものは存在しないらしく、先生は伝えたいことだけ言うと紙を置いてそのまま去ってしまった。
昼休み時間を空けてまで言う事だったとかと少々怒りを感じながら、回って来た紙を見る。
どうやら担当する日とその日誰が来るかだけが書いてあるらしい。
一部は友達となれた人もいたらしく歓喜の声を上げたが、生憎私はこの委員会に友達はいない。
誰となっても嫌なのだが、できるだけ同級生であるように願いながら眺める。
8月5日担当
2年鬼桜 柊
3年中原 中也
「.......、」
名前を見ても、正直誰かわからない。
...しかし3年となると話しにくいったらありゃしない。敬語使わなきゃいけないし、あとなんか気まずいし。
しかもこの人知らない人。
最悪である事間違いなしだ。
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