第4章 電車はやめよう(中原夢)
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「はああ......、」
「...おい止めろ。こっちまで気分重くなるだろ。」
「えぇ...でもこれは流石に...。」
人が行き交う駅構内。
私と中也の2人だけ、何故か帰りが電車というおかしな状況になっていた。
理由としては戦闘中に被弾した弾丸が車に当たり、燃料が漏れていたのかわからないけど爆発して粉々になったから。
帰りの車を呼ぼうにも、渋滞で来るのに多少の時間がかかるとかなんとかで。
しかも場所が場所だから帰るにも電車やバスを使わなければ遠い所なのだ。
別に電車が嫌いというわけではなけれど、言うなら都会の電車が嫌いなのだ。都心近くだと余計に人がむせかえっていて、電車に乗れば満員の状態だ。
更に重なる不運としては、今日は休日で夜23時前後だと言うのに学生らしき姿もちらほら見られること。
つまりは更に電車がぎゅうぎゅうになる。
「幹部ぞ?我等幹部ぞ?」
「文句を言いてぇのは山々だが、乗らなきゃ帰れねぇぞ。」
「うっ..、直帰して良いのは有り難いけど、満員電車は地獄じゃん...?」
「じゃあタクシー捕まえて帰れ。」
「タクシー高いからヤダ。」
文句と我が儘ばかりを言う私に対して中也は呆れた顔をみせた。
まぁ此れだけ我が儘言って相手がこんな顔をしないのもおかしな話だけど。
改札口を通ってホームに向かう。
しかしその足取りは今まで以上に重くて、人の目も関係なくどんどん猫背になっていってしまう。それ程怠いのだ。
其れを中也が後ろから両腕を引っ張って、背筋を伸ばすように指摘してくる。
「いててて、ちょ、私女!」
「嗚呼、そういやぁそうだったなぁ?」
ニヤリと笑う彼は確信犯。
そっぽを向く私に対してまた笑うもんだから本当に殴ってやりたい。
エスカレーターに乗って地下鉄ホームに降りれば、やはり人が多すぎてとてもじゃないけど乗れるのか不安になる。
「うえ...、人口密度高すぎ...。」
「こりやぁ確かに、ちと多過ぎだな。」
「中也押し潰されちゃいそうだね。」
「どう言う意味だ手前。」
睨みを効かせる中也を無視して携帯を取り出す。
時間を見れば23時5分。次いで駅のホームの電光板を見れば、もう1分足らずで電車が来る時刻になっていた。
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