第1章 ─ N × A ─
─相葉side
「っ..やめ..」
ニ「んっ、ん、」
「跡、ついちゃ、から..」
胸板に感じる久しぶりの感覚
嫌がった素振りを見せるけど、本当はすこし嬉しかったりして
何せ1ヵ月くらいのロスで欲しかったぬくもり
嫌なわけなんてなかった
ニ「跡、ごめん...止まんなかった」
「いいよ、あとでコンシーラーか何か付けとくよ」
ニ「うん..ありがと...」
額と額をこつん、とくっつけて視線を絡める
ニノが少し自嘲した様に訊く
ニ「本当はこんなつもりじゃなかったけどさ...キスしても、いい?」
「でも、風邪移るよ?」
ニ「そんなの気にしないよ、久しぶり...だもん..」
ゆっくりゆっくりぎこちなく、ニノの優しく微笑った顔が、唇が近づいてくる
「んぅっ、ん、」
ニ「っ、ん、っは、」
「っ、んんぅっ、はぁっ、くるし...」
唇を割さいて入ってきた熱い舌
歯列をなぞり、舌に絡みついてくる
苦しくなって離れる
ニ「この先は?やめた方がいい?」
「...好きにして、いいよ」
ニ「ふふっ、珍しく素直じゃないね」
そうやってまた微笑う
ニノはいじわるだ
俺が誘いを断れるはずなんて無いことを知ってるクセに、そうやって俺に訊くんだもん
それでも受諾してしまっている自分
風邪だと人は甘えたになるみたいだ──