第1章 ─ N × A ─
─二宮side
「どうせアナタのことだから」
なんて上手く丸め込んでやったけど、そんなの嘘
ほんとは、雅紀と少しでも長く一緒にいたかっただけ
最近忙しかったから、雅紀には指一本触れられない日も当然あるわけで
ついつい柄にもなく看病するなんて言ってしまった
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相「あ、温度計はそこで、あ〜冷え○タはね..」
「いいって、病人は大人しく座ってて」
相「...はい」
ちょこん、とベッドの端に座る雅紀
あ、そういえば着替えさせなきゃ、と思った
適当にクローゼットからスウェットを引っ張り出す
俺があげたパーカーが1番前列にあるのがうれしい
「スウェットこれでいい?着替えなきゃでしょ?はい、ばんざ-い」
相「あ、いや、いいって!それ位自分で...」
「だぁめ...。病人は黙ってろ...」
身体を捩って遠慮する雅紀
これ、久しぶりだな、
ほんとに、ほんとのほんとにそんなつもり無かったんだよ?
でも、最近会えて無かったってことはそっちの方もご無沙汰ってこと
久しぶりの雅紀のあたたかさがうれしくて
気づけばその胸板に、桃色の花を散らしていた
相「っ..やめ..」
「んっ、ん、」
相「跡、ついちゃ、から..」
「っは..ぁ...!」
肩をか弱く押されて気づく
そろそろ夏の撮影で脱ぐかもだな...
全然抑えが効かなかった
でもね、俺を見つめるその瞳、嫌がってなかった
むしろ...少しだけ嬉しそうな、そんな表情(かお)だった