爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第4章 九州 大宰府
「どうしても、空爆はいかんかね?」
「当たり前よ」
大尉の口振りは少し呆れたようであったが、首相は気にもかけず当然の如く言い切った。
円卓は今閑散としていた。円卓周辺には4人おり、腰掛けて会議資料を団扇(うちわ)のように扱って弄んでいる大尉と、コーヒーカップを片付ける首相、そしてそれを手伝う陶山と諫早だ。こういう時大尉はまず手伝わない。少なくとも片付けられない女である大尉にそれを頼む者も大宰府にはいない。鎮台政府執務室のコーヒーカップがオフィス用のプラスチック容器になったのは、値の張る高級輸入品を悉く割り続けた―決して故意ではない―蓮池夏希一人のためである。
「山口までタンクを走らすより、上から叩いた方が効果あると思うけどなあ」
「山口だけで済むと思ってるの、蓮池大尉は?」
「いいや、全く。萩も岩国も皆焼き潰さないとな。特に岩国は念入りに」
「あんたねぇ」
首相は盆にカップを重ね置いて、手を止めた。
「どうして円卓のおっさん達と同じ様な事言うかな? 私が、『そうですね、バンバン焼きましょう』とでも言うと思いましたかね!?」
「それも全く」
「なら、どうして」
「あのね、おばさん」
「あ?」
「……いや失敬、菫オネエサン」
大尉はそう言うと、円卓から腰を上げ、首相から数歩の距離をとった。
「正直な話をするとね、おねえさん?」
「……もういいから。次は無いけど。で、何よ?」
「和戦の構えは無理だと思う訳よ。恐らく、円卓も、吉岡の爺さん含めてね」
「あんたも防長の武力併合がお望みな訳ね」
「今日からはそうだな」
今日からねぇ、と呟きながら首相は盆を手に取り、円卓までカップを取りに来た真新しいスーツの新入り官吏へと渡した。
「それは大島が落ちたからかね、蓮池大尉」
「その通りです。落ちなければ、博多港のイージス艦とアメリカ本土からミサイル撃たせたでしょうけど」
「なんて無茶苦茶を抜かしおる」
同じようにやって来た女性の官吏へ盆を突出した諫早利三は、平然と答える大尉へ苦々しさを覚え、率直に伝えた。
「おっぱじめたんだから当然でしょうに。爺さんの言うおかしな連中にまんまとやられたとはいえ、戦争にゴーサインを出したのは他ならぬ鎮台政府なんですから。始めた以上は勝たないと」