爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第4章 九州 大宰府
吉岡は心底悲しそうな顔をして、一見すれば気落ち振りに同情を覚えてしまうほどの様子だった。しかし、円卓の面子はそう思わなかった。
「市民長倉、並びに市民臼杵の両名は自己批判の時間も必要だ。本日を以て両名を更迭する事が肝要と心得る。吉野閣下、如何でしょう?」
「吉岡議長、少しばかりお時間を頂けませんか?」
「彼らに釈明の機会は与えております」
「しかし」
「閣下。体制は弛緩(しかん)している。引き締めが必要です。閣下はこの作戦に慎重を期す様に申し上げられましたが、吉見の挙兵から今回に至るまで私も閣下も与り知らぬ所で既成事実を押しなべた輩がおります。もうお気づきの筈」
首相は何も言わなかった。大尉も陶山も黙って様子を見ている。
「議長、さも当然と申されておるが、それは誰の事を」
「君はいつから私の発言を割ってよくなった、米良君」
公安委の米良の口出しは差し止められた。言葉と共に向けられた視線を恐れ、米良は吉岡から僅かに顔を背けた。
「不躾な輩達が、大島一件の発端を作り、長倉部長がそれに乗っかり、臼杵部長が早々と立案して話をトントン運びよった。挙句の強硬策でこの惨憺たる結果が起きているのです。おわかりでしょう、閣下?」
「……それは」
既に承知している。ただ、吉野菫としては、気に入らないが熟練の軍高官を今の局面で更迭する事だけはしたくなかった。しかし、吉岡の言葉に納得したい部分もある。
―――――――――――――――疎んでいるのは、お前らだけじゃない。腹に据えかねているのは、お互い様だ。
「昨今は大宰府において、文武の官が互いを疎み、貶し合い、遂には互いの論功争いを始めて、戦争まで持ち込んだ。私も抜けていたよ。体よくドイツ視察の機会が出来たと思って諫早君を連れて飛んで行ったら、その矢先。おまけに理解し難い渋滞にまで」
「渋滞?」
端に居た大尉が思わず漏らした。吉岡は思わぬ方向からの声で脱線に気付いた。
「ああ、それは関係なかった。失敬した。あのね、書記君。議事からは差っ引いておくれ」
吉岡は少しだけ、顔を緩めて、書記役の官吏に告げた。途端に緊張していた有馬達の顔が疲れたように緩んだが、吉岡は再び思い出したようにうんざりした顔になって、続けた。