爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第4章 九州 大宰府
「さっさと始めましょうよ、首相。ほら議長座らせて」
「えぇっと、いや、あのう……」
「川上君、シベリアに閣下を連れて行く気かな?」
「ええっ!? 私も行くの!?」
吉岡はにっこりとした顔のままである。川上は心底うんざりした顔であるが、真ん中に置かれた首相は気の毒な状態である。これについては鎮台の諸将も人間としては同情している。普段はこのまま川上と吉岡が数分やり合い、首相が抑え込むのだが、今日は趣が違った。
「まあ後で川上君は埋めるとして。閣下、お祝いはまた後で申し上げに伺います」
「は、はあ……」
吉岡が話を切り上げた。これは珍しい。大尉はやや驚いた。川上はふんっと鼻を噴かせうんざりした顔で外方(そっぽ)を向いた。
吉岡は立ち上がったまま、円卓を見渡し、
「さぁてぇ」
とにっこり笑った。
「――――――――始めようか、市民。定刻だ」
静かに告げられた言葉にはもう遊びがない。
「さて、皆の衆。これからは総括をしなければならない。おわかりか」
「総括、ですと?」
「そうだよ、有馬提督。この度の不手際についてのね」
有馬はその言葉で吉岡の言わんとした事がわかった。
「即日陥落と楽観視した事はまあ、僕にも責任がある。その為に余計にかかった被害や金についてはスタッフ達が纏めてくれているからそちらに委ねよう。問題は、それまでの経過だよ」
吉岡は淡々と続けた。その視線の先には長倉晋三総監情報部長と臼杵栄雄作戦部長が捉えられていた。
2人は蛇の前の鼠の様に、窮地の淵にある。首相にはそう見えた。だが、鼠とて部長である。長倉が口を開いた。
「情報部として、敵戦力の見通しに誤りがあったのは認めます。しかしながら」
「結構。誤った情報で沢山の兵士を死なせたね」
「あ、いや、その。それは」
長倉は二の句を必死に吐こうとしていたが、吉岡はもう一方の目で捉えた臼杵部長へ関心を向けた。
「臼杵作戦部長、敵が水際防御を採ると断言し、結果敵はモグラとなってゲリラ化したが、その点は想定通りだったかね」
「それは、いいえ、想定より外しておりました」
「結構」
臼杵は対して殊勝な構えであった。それは反論を諦めた、というのと変わらない。
「両部長は己の職権が多数の兵士を失わせる事に全く考えていない。残念だ。嗚呼、口惜しい」