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爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇

第4章 九州 大宰府


 長身で肩幅の広い男、川上兵助(かわかみ へいすけ)。言い方が多少癪に障る男だが、この男は冷ややかな空気をのっけから無視して自分のペースに従う。鹿児島生まれの鹿児島育ちだが、上京して〈標準語〉を「学び」、留学もせぬまま国内で日共残党狩りや経済水域の侵犯を繰り返す隣国の巡視船に機関砲を叩き込む軍隊生活を繰り返して来た鎮台海兵大将。元々は陸軍機甲科だが、着任早々に異籍して海兵隊創設に加わり、今では30代にして鎮台の猛者部隊「鎮西海兵隊」の総司令官を勤めている。首相である吉野菫に対しても正直に失礼な文言を並べる男ではあるが、しかし、下らない陰湿さを持っているこの円卓においては唯一の清涼剤であった。

「そういう首相はどうです? 先程は随分と眠そうでおられましたな、確か」

「もう、すっかりよ。ほら、この通り!」

 両腕でガッツポーズを決めた首相を見て、周囲は冷めた態度を取っていた。

「わけがわからないですな、閣下。どこが『この通り』なのか、全く伝わりませんよ」

「はっ、はははっ……」

 海兵大将のからかうような口調に、首相は乾いた苦笑を漏らした。

 大尉は小さく息をついた。本当に、この男しかマトモに話す相手もいない。マトモな話をしていると言えるのか、たまに不安にはなるが。

 一抹の真実もある。大将の言った通り、首相は「すっかり」していない。連日の激務のために身体は時折悲鳴を挙げる。大尉が睡眠薬を取り上げたのは、彼女が疲れるに任せて無意識に過剰摂取しないようにするためでもあった。疲労は判断を過剰にする。疲労しきった人間が別個の新たなストレスによって突然爆発し攻撃的に豹変したり、不意に列車が走り込む線路へ飛び込んだりする事もある。首相の場合はこの空気が彼女の疲労感を酷く高めていた。傍目には癪に障る川上兵助の自信に満ちた態度や言動も、衆人環視と村八分の軛(くびき)に苛まれている首相にとっては救いに近い物がある。
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