爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第4章 九州 大宰府
「おはよう、みんな。少しは眠れた?」
会議室に入るなり、吉野菫は元気の良い、明るくはっきりした声を円卓へ掛けた。大尉の機嫌はまた損なわれた。円卓は静まり返り、一刻間が空いた。
「……ええ、それなりに」
首相吉野菫の対岸にいる有馬治三郎提督が冷めた目付きを首相へと向けながら、抑揚もなく答えた。
「そっか、そっか。良かったよ、それなりでも」
首相は少し微笑み、座席を引いた。
大尉は視線を有馬の横へやった。籠手田泰志中将は首相の顔すら見ず、手元の資料に眼を落として口を開く素振りも見せなかった。そこから二席程離れた座席にいるリカルドも仕草こそ違えど、もたれかかったまま答えようともしない。加えて、リカルドの隣にいて先程まで彼と談笑していた―廊下にも聞こえる程愉快そうであったのに!―鎮台空軍中将宇垣麟太郎(うがき りんたろう)も腕を組んで顰めた面を造り、目など瞑って聞いているのかも分からない。有馬のもう一つ隣にいる陸軍きっての勇将、鎮台熊本基地駐屯教導師団長の鹿子木武時(かのこぎ たけとき)陸軍少将はメランコリーの体勢で端(ハナ)っから眼中にないと言わんばかりの態度である。
毎度ながら、大尉は内心吐き捨てた。大尉が流した眼を向けた陶山は彼女の視線に気付き、瞬きを2回した。大尉は鼻で不満を吐いた。
「おはようございます。今日は実に気分が良い」
大尉の背後から不意に大きな声が掛かった。そして、振り返る前に大尉の背中に平手が一発当てられて、彼女は少し前のめりになった。
「おはよう、川上君。眠れたかな?」
「そういう意味で申し上げましたよ、閣下。なあ、宇垣中将?」
「……あ、ああ、そうだね」
宇垣が突然の語りかけに驚いているのをよそに、その者は首相の隣に腰を下ろした。