爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第1章 西海之役
自分も随分と人が悪くなった。笑うでもなく、嘆くでもなく、只そう思う。宰相吉野菫としての自分を心がけ、意識を持ち、諸々に神経を研ぎ澄ませ、方々の諸氏を疑って敵意を押し隠した。宰相とはそういう者であるべきだと思ってきた。しかし、演じる宰相吉野菫という役が実際の自分を犯し始めるに及び、次第に自分へ疑問を持ち出した。
どうしてこうなったんだろう。
ふとデスクの右側一番上の引き出しが気になった。ゆっくりと引き出されたそこには名刺入れや筆記用具等も入っているが一番に目に付くのは皺の掛かった紙製の箱とライターだった。銘柄が書いてあるが、その違いは分からない。只煙草であるという事だけが分かる。
吉野は箱を手に取ってそこから一本引き抜いた。覚えたてのぎこちない手付きで煙草を指に挟み、口元に近付け、ライターで火を付けフィルター越しに吸い込んだ。
肺が一辺におかしくなったような感覚が襲ってきた。思わず咳込み、装飾代わりに小物入れにしていた灰皿に煙草を押し付けた。
戦利品は今尚苦々しい。
「こんな物やるなんて、気が知れないわ」
吉野は咳込みながら悪態をついた。
今は遠くに失せた、かつての相棒へ。